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書類の種類と仕組み

旅行者が検索しているのはETIAS。でも実際に旅行者を足止めしているのはEESです

ヨーロッパの空港にあるEUの入国審査の案内表示

要点

  • EUの出入国システム(EES)は2026年4月から運用されています。EU域外からの訪問者は、シェンゲン圏の国境でパスポートにスタンプを押してもらう代わりに、指紋と顔画像で登録されるようになりました。
  • 運用はまちまちです。フランス、ドイツ、ポルトガルを含む9か国が、期限を設けずに全面的な導入を見合わせています。
  • ETIASはEESとは別の制度で、まだ始まっていません。現時点ではヨーロッパへの渡航に必要なく、EUは開始日を発表していません。
  • EESとETIASはよく混同されます。EESは国境で自動的に行われるもので、ETIASは運用が始まれば事前にオンラインで手続きするものです。

EUの新しい出入国システム(EES)は、2026年4月にシェンゲン圏に到着するEU域外の旅行者を対象に始まりましたが、その導入は当初から波乱続きです。EESの運用開始から2日後、ミラノ・リナーテ発マンチェスター行きのeasyJet便は、入国審査で何時間も続く列ができたため、予約していた156人の乗客のうち34人だけを乗せて出発し、122人の旅行者がイタリアに取り残されました。

混乱は今も収まっていません。長い行列と技術的なトラブルが続いた夏を経て、ブリュッセルは静かに方針を後退させました。当初、150日間の猶予期間は延長の予定なく9月6日に終わるはずでしたが、少なくとも9か国、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、ギリシャ、マルタ、ポルトガル、イタリア、スイスが、技術がきちんと機能するまで審査を全面的には実施しないと欧州委員会に伝えました。欧州委員会はこれを非公式に了承し、今回は期限も設けませんでした。こうしたばらつきは表立って見えています。Xでは、Steven Wirthさんがジュネーブ空港をこれまでで最悪のEESの運用だと評し、ブースの3分の1から半分しか開いておらず、2時間の行列ができて乗り遅れる乗客もいたと報告しました。また、ドイツに到着したKushan Mitraさんは、自分で生体情報を読み取った後に係官のところへ回され、結局パスポートに手作業でスタンプを押されたと書いています。実際のところ、今は指紋や写真を取られるかどうかは通過する国境によって異なり、それがいつまで続くのかは誰にもわかりません。

それなのに、旅行者が気にしているのはEESではありません。Google Trendsのデータでは、「apply for an etias visa online」(ETIASビザをオンラインで申請)の検索数が、この1か月で世界全体で2,050%増えています。実際にはまだ申請できないにもかかわらずです。一方、ETIAS(欧州渡航情報認証制度)の開始については、まだ日付が発表されていません。現在、ヨーロッパへの渡航にETIASは必要なく、ETIASはビザでもありません。

混乱の原因をひとことで言えば、みんなが検索しているシステムはまだ動いておらず、動いているほうのシステムは9か国で見合わせ中だということです。この2つは別々の制度で、旅の異なる段階で連携して機能します。どちらがどちらかを知っておくことが、スムーズに到着できるか、ゲートで困ったことになるかの分かれ目になります。

EESとは?

出入国システムは、2025年10月からの段階的な導入を経て、2026年4月10日にシェンゲン圏全体で全面運用が始まりました。EU規則2017/2226に基づいて作られ、パスポートへのスタンプに代わって、eu-LISAが管理する中央のデジタル記録を使います。

旅行者が初めてシェンゲン圏に入るとき、国境当局は、氏名とパスポートの情報、顔画像、必要な場合は指紋を含むファイルを作成します。さらに、すべての入国と出国の日付と場所も記録されます。12歳未満の子どもは顔画像を撮影しますが、指紋は採取しません。2回目以降の渡航では記録がすでにあるため、登録はもっと早く済むはずです。

旅行者にとっての意味:

  • 原則として、EU/EEA以外のすべての国籍の方が対象です。180日間のうち最大90日の短期滞在であれば、ビザなしで渡航する場合も、シェンゲンビザを持っている場合も対象になります。
  • いくつかのグループは対象外です。EU、EEA、スイスの国民のほか、長期滞在(Type D)ビザや居住許可の所持者、認定を受けた外交官も含まれます。
  • 料金はかからず、申請も不要です。登録は国境でその場で行われます。
  • 90/180日ルールが自動的に適用されます。係官がスタンプを読み取るのではなく、システムが渡航日数を計算します。超過滞在は共有のデータベースに記録されるようになりました。
  • データは最後の出国から3年間保存されます。超過滞在をしたり入国を拒否されたりした場合は、5年間になります。
  • 初回の登録には時間がかかることがあり、繁忙期には一部の大きな空港で行列ができる原因にもなっていると報じられています。導入後の最初の渡航では、時間に余裕を持っておくとよいでしょう。

知っておきたいことが2つあります。アイルランドはEESに参加していません。イギリスとの共通旅行区域(Common Travel Area)のもとで独自の審査を行っているためです。また、航空会社などの運送事業者にも旅行者の記録を確認する独自の義務が課されるようになりました。そのため、このシステムは国境のブースの外にまで影響が及んでいます。

つまりEESによって、誰がヨーロッパに入国できるか、どのくらい滞在できるかが変わるわけではありません。スタンプよりもはるかに正確に、出入国の動きを記録するだけです。

ETIASとは?

ETIASはまったく種類の違うシステムです。ビザではなく、渡航前の認証で、旅行者にもなじみがあるかもしれないイギリス ETAやアメリカ ESTAと同じ考え方です。どちらも飛行機に乗る前にオンラインで申請します。これらの制度と同じように、ETIASはアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、日本の国民を含む、ビザ免除の対象となる旅行者向けです。主な目的は、到着前に旅行者を、セキュリティ、不法移民、公衆衛生のリスクについて事前に審査することです。

システムの運用が始まると、対象となる旅行者はパスポートに紐づいた短いオンライン申請をします。現在わかっている内容は次のとおりです。

  • ヨーロッパの30か国が対象です。EU加盟国26か国と、シェンゲン協定に参加する4か国(アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス)です。キプロスは、まだEESの生体情報データベースに参加していませんが、ETIASの対象には含まれます。アイルランドはETIASに参加していません。
  • 料金は1件あたり20ユーロで、18歳から70歳の旅行者が支払います。18歳未満と70歳を超える方は料金が免除されますが、認証は必要です。
  • 承認の有効期間は3年間、またはパスポートの有効期限までのどちらか早いほうで、何度でも入国できます。
  • 対象となる短期滞在の期間は同じです。180日間のうち90日です。
  • ビザではなく、入国を保証するものでもありません。到着時にどうなるかは、引き続き国境の係官と、過去の滞在に関するEESの記録によって決まります。ETIAS自体は渡航履歴を記録しません。それはEESの役割です。

大事な注意点があります。ETIASはまだ運用されていません。申請の窓口は開いておらず、現在の渡航に必要ありません。EU自身の案内では、ETIASは運用されておらず、申請も受け付けておらず、具体的な開始日は運用開始の数か月前に発表するとされています。

このスケジュールはすでに何度も変わっているので、どの日付も暫定的なものと考えてください。

EESとETIASの違いをまとめたインフォグラフィック

2つのシステムの連携のしかた

この2つのシステムは、どちらか一方というものではなく、互いを補い合うように作られています。

EESは、誰が国境を越えたか、それぞれの人がどのくらい滞在しているかを記録します。ETIASは、運用が始まれば、ビザ免除の対象となる旅行者を事前に審査し、懸念のある人を搭乗よりずっと前に見つけ出します。ビザ免除の対象となる旅行者の場合は、飛行機に乗る前に承認されたETIASを取得し、さらにEESで登録を受けることになります。一方、シェンゲンビザを持っている旅行者はそのビザでカバーされるため、ETIASは必要ありませんが、EESでの登録は必要です。

「名前がとても似ているので、同じルールに2つの名前が付いているだけだと思われがちで、そこから問題が始まります」と、iVisaのDirector for Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス担当ディレクター)、Victor Gimenezは話します。「1つは自動的に行われ、無料で、すでに始まっています。もう1つは渡航前に自分で済ませておく必要があるもので、それも国籍によって必要な場合だけです。私たちが心配しているのは、来年、旅行者がETIASもEESと同じように空港で手続きされると思い込んで来てしまうことです。そうはなりません。ETIASが義務化されたら、必要な旅行者は出発前に取得を済ませておく必要があります」

次の旅行の前にやっておくこと

  1. 自分の国籍で何が必要かを確認しましょう。ビザが必要なのか、ETIASの開始後はETIASが必要なのか、それともビザなしで渡航できるのかを、EUの公式の案内で確認してください。
  2. 国境ではEESがあると考えておきましょう。パスポートと、初めて通過するときの少しの忍耐のほかに、準備するものはありません。
  3. ETIASの開始日に注目しておきましょう。申請の受付が始まったら、搭乗の列に並んでからではなく、出発よりずっと前に認証の承認を受けておきたいところです。

ETIASの申請受付が始まれば、それはまさにiVisaが得意とする渡航前の認証です。iVisaがすでに対応しているイギリス ETA、アメリカ ESTA、カナダ ETAと同じ種類の手続きです。短くてわかりやすいガイド付きのフォーム、パスポート情報の不一致などのミスを提出前に見つける専門スタッフのチェック、14以上の言語による24時間365日のサポートを提供します。20ユーロの政府手数料に加えて、ガイド付きの手続きに対するiVisaのサービス料がかかります。最終的な承認は、常に各国の当局が判断します。iVisaは2013年から300万人以上の旅行者をサポートしており、申請全体の承認率は99%です。

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